「面談や待遇改善に取り組んでいるのに、離職が止まらない」と感じていませんか。離職防止の取り組みは、他社の事例をそのまま真似ても成果につながるとは限りません。鍵になるのは、社員が本当は何に違和感を抱いているのかを把握することです。本記事では公的データと実際の取り組み事例をもとに、離職防止施策の選び方と進め方を解説します。
離職率は前年より低下しているものの、入職者も減っており、若手の早期離職も高い水準が続いています。人材の定着は、多くの企業にとって経営課題であり続けています。
公的データから見る離職の現状
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査結果の概況」では、入職率・離職率がいずれも前年より低下し、入職超過率は縮小したことが公表されています。
離職率が下がったと聞くと安心しがちですが、入職者も同時に減っているという点は見逃せません。
採用によって人員を補うことが以前より難しくなっている状況だと読み取ることもできます。
人を採りにくい環境では、一人の離職が現場に与える影響が大きくなります。
欠員の穴埋めで残った社員の負荷が増え、その負担が新たな離職を招くという悪循環も起こりがちです。
だからこそ、採用強化と並行して「いまいる社員にどう定着してもらうか」を考える離職防止の取り組みが、これまで以上に重要になっています。
若手社員の早期離職が続いている
厚生労働省が令和5年10月に公表した新規学卒就職者の離職状況では、令和2年3月卒業者の就職後3年以内の離職率が、大卒で32.3%、高卒で37.0%となっています。
新規大卒就職者の32.3%が就職後3年以内に離職しており、育成にかけた時間とコストを回収する前に人材が流出してしまう企業は少なくありません。
若手の早期離職が厄介なのは、本人が辞める理由を周囲に明かさないまま去っていくケースが多い点です。
入社して間もない社員は、職場で疑問や不安を口にしてよいのか判断がつかず、ひとりで抱え込みがちです。
その結果、会社が異変に気づいたときにはすでに転職先が決まっていた、という事態が起こりやすくなります。
早期離職を防ぐには、入社直後の研修や面談だけで終わらせず、日々の業務の中で生まれる違和感が小さいうちに拾い上げる仕組みが求められます。
不安が「辞める」という決断に変わる前に会社が気づければ、説明や配置の見直しなど、打てる手は数多く残されています。
対応の遅れこそが離職を確定させる要因になるのです。
離職の本当の原因が見えにくい理由
離職防止の取り組みが空回りする最大の原因は、退職理由の「本音」が会社に届いていないことにあります。
退職面談では本音が語られにくい
多くの企業が退職面談で理由を確認していますが、そこで語られる内容が本音とは限りません。
辞めることが決まった社員にとって、会社への不満を正直に伝えるメリットはほとんどなく、円満に退職したいという心理が働きます。
そのため「キャリアアップのため」「家庭の事情」といった、角の立たない無難な理由が選ばれやすくなります。
よくあるのが、表向きは前向きな理由で退職したものの、実際には上司との関係や評価への不満が決定打だったというケースです。
こうした本音が記録に残らないと、会社は誤った前提のまま施策を打ち続けることになります。
離職理由のデータを集めているのに改善が進まない場合は、情報の正確さ自体を疑う必要があります。
会社の認識と社員の課題感にはズレが生じやすい
経営層や人事が想定する離職要因と、現場の社員が実際に感じている課題は、必ずしも一致しません。
給与や制度に原因があると考えて待遇改善に踏み切ったものの、離職が思うように減らなかったという話は珍しくありません。
社員が辞めたくなる理由は、日々の業務の進め方や情報共有のされ方など、数字に表れにくいところに潜んでいることも多いのです。
みんばこにご相談いただく企業の中にも、「言っても変わらない」という雰囲気が社内にあると話す企業があります。
こうした小さな不信感は一つひとつは些細でも、積み重なると「この会社にいても仕方がない」という判断につながります。
ズレを埋めるには、まず社員の声を正確に把握することが出発点です。
離職の兆しは、面談の場では表に出にくいものです。組織として離職を防ぐには、社員が立場を気にせず違和感を伝えられる経路を用意しておくことが有効です。匿名で声を集める仕組みは、本音を早い段階で把握する手段の一つになり得ます。
企業が実践している離職防止の主な取り組み
離職防止の取り組みは大きく「働く環境の整備」「関係性づくり」「声を拾う仕組み」の3つに分けられ、自社の課題に合わせて組み合わせることが重要です。
労働時間や休暇など働く環境を整える取り組み
労働政策研究・研修機構(JILPT)のビジネス・レーバー・トレンドでは、若年正社員の定着のために「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」を実施している事業所が大幅に増加したと紹介されています。
長時間労働や休みの取りにくさは、心身の疲弊を通じて離職に直結しやすいため、多くの企業がまず着手する領域だと言えます。
ただし、制度を整えるだけでは十分ではありません。
休暇制度があっても、上司や職場の雰囲気が取得しにくい空気をつくっていれば、社員にとっては存在しないのと同じです。
制度面の取り組みは、実際に使われているか、使いにくさを感じている社員がいないかを継続的に確認してはじめて、離職防止の効果を発揮します。
1on1やメンター制度で関係性をつくる取り組み
上司との定期的な1on1や、先輩社員がフォローするメンター制度も代表的な離職防止策です。
業務の悩みを早めに共有できる関係があれば、小さなつまずきが離職の決断にまで発展するのを防ぎやすくなります。
特に入社直後の社員にとっては、気軽に質問できる相手がいるかどうかが、職場への安心感や定着意欲を大きく左右します。
一方で、1on1の相手が評価者である上司の場合、部下は評価への影響を気にして本音を控えることがあります。
たとえば、面談の場では「特に問題ありません」と答えていた社員が、ある日突然退職を申し出るという状況がよく見られます。
対面の取り組みには限界があることを理解し、上司以外に気持ちを伝えられる別の経路も用意しておくことが大切です。
社員の声を継続的に拾う仕組みをつくる取り組み
従業員サーベイやエンゲージメント調査、匿名の意見箱など、社員の声を定期的・継続的に集める取り組みも広がっています。
対面では言いづらい内容でも、立場が守られる形であれば伝えやすくなるため、面談だけでは見えなかった課題が浮かび上がることがあります。
現場の小さな違和感を早期に把握できる点が、この取り組みの大きな利点です。
ただし、声を集めっぱなしにすると逆効果になります。
意見を出しても何の反応もなければ、社員は「言っても無駄だ」と学習し、かえって会社への不信感を深めてしまいます。
声を拾う仕組みは、受け取った内容への回答や改善の報告とセットで運用することが前提です。
集める仕組みと応える仕組みの両方を設計しておく必要があります。
匿名の声を離職防止に活かした取り組み事例
匿名で本音を集める仕組みを新卒・中途入社社員のケア窓口として活用し、「勘違い離職」の防止に手応えを得た実際の事例と、そこから学べるポイントを紹介します。
導入前の課題:ケア面談でも本音が聞けなかった
みんばこ導入企業(人材紹介事業・プラットフォーム事業・ウェブサービス事業、500〜1,000名規模)の事例です。
この企業では組織の拡大に伴い、すべての採用者と密な関係を保つことが難しくなっていました。
ケア面談など意見を言える場を設けても離職率への効果は薄く、新卒・中途の社員は上司に疑問や懸念を口に出せない状態だったといいます。
離職面談でも本音はほとんど聞けず、何が原因で人が辞めているのかを正確につかめていませんでした。
そうした中で、どれだけ傷つくことを言われたとしても社員のホンネが聞きたいという思いから、新卒・中途入社社員向けのケア窓口として匿名で相談できる仕組みを導入しています(出典:みんばこ導入事例)。
導入後の変化:会社の想定とは違う課題が見えた
導入後に明らかになったのは、会社が認識していた課題とはまったく違うところに社員の課題感があったという事実でした。
人事・採用チームの部長は「みんばこを導入して驚いたのは、今まで私達が認識していた課題はどうでもよくて、ぜんぜん違うところに課題感を持っていたということです。
」と振り返っています。
さらに、離職を決めるまでの要因や違和感を、気づいたタイミングで相談してもらえるようになりました。
同部長は「特に”勘違い離職”と言われる上層部はそう思っていないのに、勝手に一部分を切り取って解釈したり同期と話して納得したりして離職になってしまうというパターンが防げていることには非常に手応えを感じています。
」と語っています。
ホンネを軸にすることで、独りよがりの離職対策やケア施策が不要になったといいます。
事例から学べる3つのポイント
まず学べるのは、施策を考える前に本音を把握することの重要性です。
会社の思い込みに基づいた施策は、どれほど手厚くても社員の課題に届かなければ効果を発揮しません。
課題の所在が正しく分かれば、効果の薄い施策に費やしていた労力を、本当に必要な対応へ振り向けられるようになります。
結果として、取り組み全体の効率も高まります。
次に、「勘違い離職」のように誤解や情報不足が原因の離職は、早い段階で相談を受けられれば防げる可能性があるという点です。
上層部の意図が一部だけ切り取られて伝わっているだけなら、説明の機会をつくることで解消できます。
離職の決断が固まる前に違和感を拾えるかどうかが、こうした離職を防ぐ分かれ目になります。
三つ目は、匿名性が心理的安全性を補う手段になり得るという点です。
同部長は「匿名に対する不信感や不安はありましたが、こういった手法を使って心理的安全性を確保することも重要なんだと実感しています。
」と述べています。
対面での関係づくりと匿名の経路を併用することで、本音が届く範囲を広げられます。
こうした課題に組織として取り組むには、従業員が匿名で声を上げられる仕組みづくりも有効です。みんばこのようなクラウド目安箱ツールを活用することで、現場のリアルな声を早期にキャッチし、問題が深刻化する前に対処できます。
離職防止の取り組みを成果につなげる進め方
離職防止の取り組みは単発の施策で終わらせず、「把握・分析・改善・検証」を繰り返すサイクルとして運用することで、はじめて成果につながります。
現状把握から始めて施策を選ぶ
他社の取り組み事例は参考になりますが、自社に同じ課題があるとは限りません。
まずは部署別・入社年次別の離職状況を整理し、どこで、どのタイミングで離職が起きているのかを把握することが出発点です。
そのうえで、社員の声から離職につながりそうな要因を探り、優先度の高い課題に絞って施策を選ぶと、限られたリソースを有効に使えます。
施策を実行したら、一定期間後に効果を振り返ります。
離職率のような結果指標は変化が表れるまで時間がかかるため、寄せられる声の内容や相談件数の変化など、途中経過を確認できる指標もあわせて見ておくと判断しやすくなります。
効果が見えない施策は見直し、うまくいった施策は他部署にも展開していくことで、取り組みの精度が高まっていきます。
集めた声への応答と管理職の関わり方
社員の声を集める仕組みを導入しても、管理職がその声を「自分への批判」と受け止めてしまうと、改善は進みません。
寄せられた意見は個人攻撃ではなく、組織をよくするための情報として扱う姿勢が求められます。
人事が管理職と一緒に声を読み解き、対応方針を考える体制を整えておくと、現場の抵抗感も和らぎ、改善に向けた動きが生まれやすくなります。
また、すぐに対応できない意見であっても、「検討している」「この理由で今は難しい」と経緯を伝えることが大切です。
改善要望に対して何の説明もないまま時間が過ぎると、社員の間で「結局何も変わらない」という空気が広がっていく状況がよく見られます。
小さくても応答を続けることが、声を上げやすい風土づくりと離職防止につながります。
匿名で声を集める仕組みをツールで整える場合の選び方は、社内目安箱ツール比較5選で詳しく紹介しています。
みんばこは社員の普段は言えないホンネを匿名で届けるクラウド目安箱サービスです。

- 完全匿名で投稿・返信が可能。誰が書いたかは管理者にもわかりません。
- 投稿後も双方向チャットで匿名のまま継続的にやり取りできます。
- スマートフォン・PCどこからでもアクセス可能。導入もかんたんです。
よくある質問
Q. 離職防止の取り組みは何から始めればよいですか?
A. まずは自社の離職の実態を把握することから始めるのがおすすめです。部署別・年次別・職種別に離職の状況を整理し、どこに偏りがあるかを確認します。あわせて、在籍している社員が日頃どのような不満や違和感を抱いているかを聞き取ります。他社の取り組み事例をいきなり導入するよりも、自社の課題を特定してから施策を選んだほうが、限られた予算と時間を有効に使えます。
Q. 退職面談で本音を聞き出すにはどうすればよいですか?
A. 退職が決まった段階では、円満に辞めたいという心理から本音が出にくいのが一般的です。面談者を直属の上司以外にする、評価や今後の関係に影響しないことを明確に伝えるといった工夫は有効ですが、それでも限界はあります。退職面談だけに頼らず、在籍中から匿名で意見を伝えられる経路を用意しておくと、離職の兆しとなる違和感を早い段階でつかみやすくなります。
Q. 若手社員の早期離職を防ぐために効果的な取り組みはありますか?
A. 入社後のオンボーディングやメンター制度で、気軽に相談できる相手を用意することが基本です。加えて、入社前に聞いていた話と実態とのギャップや、上層部の方針が正しく伝わっていないことによる誤解が離職につながる場合もあります。疑問や不安を小さいうちに口にできる仕組みを用意し、出てきた声に対して丁寧に説明する機会をつくることが、早期離職の抑止につながります。
Q. 匿名で意見を集めると、誹謗中傷ばかりにならないか心配です。
A. 匿名の仕組みに対しては、そうした不安を持つ方が少なくありません。一般的には、利用目的やルールを明示し、寄せられた声に誠実に応答していくことで、建設的な意見が集まりやすくなると言われています。感情的な表現が含まれる意見であっても、その背景にある課題に目を向けると改善のヒントが得られることもあります。運用ルールを事前に定め、社員に周知しておくことが大切です。
Q. 離職防止の取り組みの効果はどう測ればよいですか?
A. 最終的な指標は離職率や定着率ですが、これらは変化が表れるまでに時間がかかります。そのため、エンゲージメント調査のスコア、相談や意見の件数とその内容の変化、有給休暇の取得率など、途中経過を確認できる指標も組み合わせて見るのがおすすめです。施策ごとに何をもって成功とするかを事前に決めておくと、振り返りや見直しの判断がしやすくなります。
Q. 待遇改善をしても離職が減らないのはなぜですか?
A. 給与や福利厚生は重要な要素ですが、離職の理由がそれ以外のところにある場合、待遇改善だけでは効果が限られます。上司との関係、評価への納得感、業務の進め方、情報共有のされ方など、日々の職場環境に起因する不満は数字に表れにくく、会社側が見落としがちです。施策の前に社員の本音を把握し、実際の課題に合った対策を講じることが、遠回りに見えて確実な方法です。
まとめ
- 令和6年雇用動向調査では入職率・離職率ともに低下しており、採用で人を補いにくい今こそ定着に向けた取り組みが重要
- 新規学卒就職者の3年以内離職率は大卒で3割強と高水準が続いており、若手の違和感を早期に拾う仕組みが求められる
- 退職面談では本音が語られにくく、会社の想定と社員の課題感にはズレが生じやすい
- 働く環境の整備・関係性づくり・声を拾う仕組みを、自社の課題に合わせて組み合わせることが大切
- 集めた声には応答し続け、把握・改善・検証のサイクルで離職防止の取り組みを継続する
離職防止の第一歩は、社員が本当は何に悩んでいるのかを知ることです。対面では届きにくい声を拾う手段として、匿名の仕組みも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
- 新入社員や中途入社者の悩みも拾えますか?
みんばこは匿名で意見や相談を送れるため、上司には言いにくい疑問や不安も届けやすくなります。新卒・中途入社社員向けのケア窓口として活用している企業もあります。 - 寄せられた声に返信して誤解を解くことはできますか?
匿名性を保ったまま投稿者とやり取りできるため、状況の確認や説明を通じて、誤解による離職の防止にも役立てられます。 - 導入前に自社に合うか試せますか?
7日間の無料トライアルをご用意しています。実際の運用イメージを確かめてからご検討いただけます。



