部下同士のトラブルを仲裁する手順とNG対応

「部下同士の仲が悪く、チームの空気がぎくしゃくしている」「どこまで介入すべきか分からない」――そんな悩みを抱えていませんか。部下同士のトラブルは、対応を誤ると当事者だけでなくチーム全体の信頼を損ないます。本記事では、仲裁に入る前の見極め方から具体的な手順、避けたいNG対応、再発を防ぐ仕組みづくりまでを解説します。

目次

部下同士のトラブルを放置してはいけない理由

職場の対人トラブルは決して珍しいものではなく、放置するほど当事者以外にも影響が広がります。早い段階で管理職が状況を把握することが重要です。

職場の人間関係トラブルは誰にでも起こりうる

厚生労働省が公表した令和6年度の個別労働紛争解決制度の施行状況では、民事上の個別労働紛争の相談内容で「いじめ・嫌がらせ」が13年連続で最多となり、その相談件数は54,987件(前年度比8.5%減)でした(厚生労働省「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。

職場の人間関係をめぐる悩みは特定の企業だけの問題ではなく、多くの職場に共通する課題だといえます。

また、厚生労働省の令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」でも、仕事や職業生活における強い不安やストレスの内容として「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が挙げられています。

部下同士の小さな摩擦も、積み重なれば強いストレスの原因になりえます。

管理職は「よくあること」と軽視せず、組織の課題として捉える姿勢が求められます。

放置するとチーム全体に影響が広がる

部下同士のトラブルを「当人同士の問題」として放置すると、業務上の連携が滞るだけでなく、周囲のメンバーが板挟みになったり、どちらかの側につくよう求められたりする状況が生まれます。

対立が派閥化すると情報共有が途切れ、ミスや手戻りが増えるなど、チームの成果にも直接的な影響が出てきます。

さらに深刻なのは、「上司に相談しても何もしてくれない」という不信感が広がることです。

この不信感はトラブルの当事者だけでなく、様子を見ていた周囲のメンバーにも伝わります。

その結果、次に問題が起きても誰も報告しなくなり、表面化したときには離職やメンタル不調といった取り返しのつかない段階に進んでいる、という事態を招きかねません。

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仲裁に入る前に確認すべき2つのこと

仲裁でまず大切なのは、すぐに介入することではなく、トラブルの性質と自分の立ち位置を見極めることです。ここを誤ると、善意の介入が逆効果になることがあります。

トラブルの種類を見極める

部下同士のトラブルには、大きく分けて「業務の進め方をめぐる意見の対立」「性格や価値観の違いによる感情的な摩擦」「一方が他方を攻撃するハラスメントの可能性があるもの」の3つがあります。

前の2つは管理職が話し合いの場をつくることで解決を図れますが、ハラスメントが疑われる場合は対応がまったく異なります。

ハラスメントの可能性がある場合、当事者同士を同席させて話し合わせることは、被害を受けている側にさらなる負担を与えるおそれがあります。

この場合は「仲裁」ではなく、社内の相談窓口や人事部門と連携し、事実確認と適切な措置を進めることが必要です。

最初の見極めが、その後の対応を大きく左右します。

管理職自身の立ち位置を確認する

仲裁に入る前に、自分がどちらかの部下と特に親しい、あるいは過去に一方を高く評価してきたといった関係がないかを振り返ることも大切です。

管理職自身が気づかないうちに先入観を持っていると、話を聞く段階で無意識に一方の言い分を重く受け止めてしまい、もう一方から「最初から結論が決まっていた」と受け取られかねません。

自分が当事者の一方と近すぎる場合や、トラブルの原因に自分の指示の曖昧さが関わっている場合は、他部署の管理職や人事担当者に同席を依頼するのも一つの方法です。

中立性が疑われる状態のまま仲裁を進めるよりも、第三者の視点を入れたほうが、結果として双方の納得感を得やすくなります。

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部下同士のトラブルを組織で防ぎたい方へ

部下同士のトラブルは、管理職が気づく前から周囲が察知していることが多いものです。名前を出さずに声を届けられる仕組みがあると、深刻化する前の小さな兆しを組織として把握しやすくなります。

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部下同士のトラブルを仲裁する3つのステップ

仲裁は「個別に聞く→同じ場で話す→合意後にフォローする」の順で進めるのが基本です。各段階で事実と感情を丁寧に扱うことが、納得感のある解決につながります。

ステップ1:個別に話を聞き、事実と感情を分ける

最初は必ず一人ずつ、ほかの人に聞かれない場所で話を聞きます。

いきなり双方を呼んで話し合わせると、互いに相手を責め合う場になりやすく、本音も出てきません。

個別の場では途中で反論や評価をはさまず、まずは本人が何に困り、どう感じているのかを最後まで聞くことに集中するのが大切です。

話を聞く際には、「いつ、どこで、何があったか」という事実と、「それによってどう感じたか」という感情を分けて整理することが重要です。

たとえば、「挨拶を無視された」という訴えの裏に「仕事を押しつけられている不満」が隠れていることもよくあります。

表面的な出来事だけでなく、背景にある不満やニーズを把握することが解決の糸口になります。

ステップ2:同じ場で共通のゴールを確認する

双方の言い分を把握したら、必要に応じて三者で話し合う場を設けます。

このとき管理職の役割は、どちらが正しいかを判定する裁判官ではなく、話し合いを進める進行役です。

冒頭で「目的は責任追及ではなく、今後一緒に気持ちよく働ける状態をつくること」と明確に伝えることで、当事者の防御的な姿勢を和らげられます。

話し合いでは、過去の出来事を蒸し返すよりも、「チームの業務を円滑に進める」「お互いに必要な情報を共有する」といった共通のゴールに焦点を当てることが効果的です。

個人の感情の対立を業務上の課題に置き換えることで、具体的な改善策を話し合いやすくなります。

双方が少しずつ譲れる点を探り、実行可能な約束事に落とし込みます。

ステップ3:合意内容を確認し、継続的にフォローする

話し合いで決まった内容は、「業務の引き継ぎは必ずチャットで行う」「週1回の進捗共有の場を設ける」など、具体的な行動レベルで確認しておきます。

曖昧な合意のままだと、それぞれが都合よく解釈し、再び対立する原因になります。

必要であれば簡単なメモに残し、三者で同じ認識を持てるようにしておくと安心です。

仲裁は話し合いが終わった時点で完了するわけではありません。

1〜2週間後に個別で声をかけ、合意した内容が守られているか、新たな不満が生まれていないかを確認します。

管理職が「解決済み」と思っていても、当事者はまだ納得していないケースは少なくありません。

定期的なフォローが、関係修復を定着させる鍵になります。

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仲裁で避けたいNG対応

善意の介入でも、進め方を誤るとトラブルを悪化させたり、管理職への信頼を損なったりします。よく見られるNG対応を押さえておきましょう。

一方に肩入れする・喧嘩両成敗で済ませる

よくあるのが、成績の良い部下や声の大きい部下の言い分を優先してしまうケースです。

管理職にその意図がなくても、もう一方は「結局、上司は向こうの味方だ」と受け止め、不満を内に抱え込むようになります。

こうした状態は表面上は落ち着いて見えるため見過ごされやすく、後になって離職という形で表れることもあります。

反対に、事情を詳しく聞かずに「どっちもどっちだから、お互い気をつけて」と喧嘩両成敗で済ませる対応も問題です。

一見公平に見えますが、実際には一方に大きな非がある場合、責任の小さい側が不当に扱われたと感じます。

公平さとは双方を同じように扱うことではなく、双方の話を同じように丁寧に聞くことだといえます。

人前で裁く・「大人なんだから」で突き放す

会議や朝礼など、ほかのメンバーがいる場でトラブルを取り上げて注意することも避けるべき対応です。

当事者は面目をつぶされたと感じ、問題の解決よりも自分の立場を守ることに意識が向いてしまいます。

場合によっては、人前での叱責そのものがパワーハラスメントと受け取られるリスクもあるため注意が必要です。

また、「いい大人なんだから自分たちで解決して」と突き放す対応も、部下にとっては「相談しても無駄だ」というメッセージになります。

部下同士で解決できないからこそ問題が続いているのであり、管理職の関与が求められている状況です。

介入の度合いは状況に応じて調整しつつも、関心を持って見守っている姿勢は示し続けることが大切です。

部下の不満を解消するための方法5選

こうした課題に組織として取り組むには、従業員が匿名で声を上げられる仕組みづくりも有効です。みんばこのようなクラウド目安箱ツールを活用することで、現場のリアルな声を早期にキャッチし、問題が深刻化する前に対処できます。

トラブルを繰り返さないための組織づくり

仲裁の手順を整えるだけでなく、トラブルが深刻化する前に兆しをつかむ仕組みをつくることが、再発防止の近道です。

管理職に届かない「小さな声」を拾う

部下同士のトラブルは、多くの場合、管理職が気づく前から周囲のメンバーが察知しています。

しかし、「告げ口のように思われたくない」「自分が巻き込まれたくない」という心理から、上司に直接伝えることをためらう人は少なくありません。

結果として、管理職が把握したときには対立が深刻化している、ということが起こりがちです。

当事者ではない周囲のメンバーが、「チームの雰囲気が悪くなっている」「特定の人同士の関係がぎくしゃくしていて業務に支障が出ている」と感じていることもあります。

匿名で声を届けられる経路があることで、名前を出しにくい違和感も早い段階で共有されやすくなります。

「解決済み」と現場の実感のずれを把握する

みんばこ導入企業(FC事業・飲食店事業・飲食分野における教育・人材育成事業、300〜500名)の事例では、拠点からの報告と現場の実態に差があることが課題でした。

エリア開発事業部の事業部長は「報告ベースでは、「問題はない」「トラブルは起きていない」「順調である」などというが、その拠点では多拠点より離職率が高い。

」と導入前の状況を語っています。

導入後は、管理者が処理済みと考えていた問題が、従業員にとっては未解決だったり、説明が不足していたり、軽微として流されていたりする実態が見えてきたといいます。

同事業部長は「”みんばこ”での意見を通して、管理者の研修の必要性を再認識しました。

」と述べており、現場の声を管理者の対応力向上につなげています(出典:みんばこ導入事例)。

部下同士のトラブルでも、仲裁した管理職が「解決した」と思っていることと、当事者や周囲が感じていることにずれが生じることがあります。

仲裁後も継続して声を集めることで、そのずれに早く気づき、追加のフォローや管理職自身の対応の見直しにつなげられます。

仕組みと管理職の対応力の両面から、再発しにくい職場をつくることが大切です。

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よくある質問

Q. 部下同士のトラブルには、どのタイミングで介入すべきですか?

A. 業務に支障が出始めたとき、どちらかの部下から相談があったとき、周囲のメンバーが巻き込まれ始めたときは、介入を検討すべきタイミングです。軽い意見の対立であれば当事者同士の解決を見守ることも選択肢ですが、その場合も個別に声をかけて状況を把握しておくと安心です。対立が長引くほど関係修復は難しくなるため、迷ったら早めに話を聞くことをおすすめします。

Q. 当事者の一方が話し合いを拒否した場合はどうすればよいですか?

A. 無理に同席を求めると、かえって反発を強めることがあります。まずは個別面談を続け、話し合いを拒む理由を丁寧に聞くことが大切です。相手への恐怖心や強い不信感がある場合は、ハラスメントの可能性も含めて人事部門と相談します。同席が難しい場合は、管理職が双方の意向を伝える形で調整を進め、業務上の連携ルールだけでも合意を目指す方法があります。

Q. 仲裁しても関係が改善しない場合、配置転換を検討すべきですか?

A. 仲裁を尽くしても関係が改善せず、業務や心身の健康に影響が続いている場合は、席の配置や担当業務の見直し、配置転換も選択肢になります。ただし、相談した側だけを異動させると「声を上げた人が不利益を受けた」と受け取られ、組織全体で相談が出にくくなるおそれがあります。人事部門と連携し、双方の意向や公平性に配慮して判断することが重要です。

Q. 周囲のメンバーにはトラブルについてどう説明すればよいですか?

A. 当事者のプライバシーに配慮し、トラブルの詳細や個人的な事情を周囲に話すことは避けるべきです。ただし、業務分担の変更などで周囲に影響が出る場合は、「業務の進め方を見直している」といった範囲で必要な説明を行います。周囲から相談があった場合は真摯に受け止めつつ、うわさが広がらないよう、憶測で話を広げないことをチーム全体に促すことも大切です。

Q. ハラスメントかどうか判断がつかない場合はどうすればよいですか?

A. 判断に迷う場合は、管理職だけで結論を出さず、社内の相談窓口や人事部門に早めに相談することをおすすめします。ハラスメントが疑われる状況で当事者同士の話し合いを先行させると、被害を受けている側の負担が大きくなるおそれがあります。社内規程や厚生労働省が示すハラスメント防止の指針を参考にしつつ、事実確認は第三者を交えて慎重に行うことが望ましい対応です。

Q. リモートワーク中の部下同士のトラブルはどう対応すればよいですか?

A. リモート環境では、チャットの短い文面が冷たく受け取られる、相手の状況が見えず不満がたまるなど、対面とは異なる原因でトラブルが起きやすくなります。仲裁の基本的な手順は同じですが、個別面談はビデオ通話で表情が見える形で行い、テキストだけで済ませないことが大切です。あわせて、連絡手段や返信の目安などチームのルールを明確にすると再発防止につながります。

まとめ

この記事のポイント
  • 部下同士のトラブルは多くの職場で起こりうる課題であり、放置すると不信感や離職につながる
  • 仲裁前にトラブルの種類を見極め、ハラスメントが疑われる場合は人事部門や相談窓口と連携する
  • 「個別に聞く→共通のゴールを確認→合意後にフォロー」の順で進め、事実と感情を分けて扱う
  • 一方への肩入れ、喧嘩両成敗、人前での叱責、突き放す対応は避ける
  • 匿名で声を集める仕組みを持ち、「解決済み」と現場の実感のずれを継続的に把握する

部下同士のトラブルは、早く気づくほど小さな負担で解決に導けます。管理職に届きにくい現場の声を拾う仕組みづくりから始めてみてはいかがでしょうか。

職場の小さな違和感を、匿名で拾えるのが「みんばこ」です
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参考・引用