退職代行を使われる会社の特徴と今すぐできる対策

ある日突然、退職代行業者から連絡が届く。そんな経験に戸惑う管理職や人事担当者が増えています。退職代行を使われるのは、従業員個人だけの問題でしょうか。本記事では調査データをもとに、退職代行が使われる背景、連絡が来たときの適切な対応、そして「辞めたい」と直接言える組織をつくるための具体策を解説します。

退職代行の利用はもはや珍しくない

退職代行は一部の特殊なケースではなく、離職者のおよそ20人に1人が利用する手段になっています。まずは利用実態を正しく把握することが対策の出発点です。

離職者の約20人に1人が退職代行を利用している

パーソル総合研究所が2025年12月に発表した「離職の変化と退職代行に関する定量調査」によると、離職者のうち退職代行を利用した人は5.1%で、およそ20人に1人の割合にのぼります。

かつては「よほどの事情がある人が使うもの」と見られていた退職代行が、離職の選択肢のひとつとして定着しつつあることがうかがえます。

背景には離職そのものの多さもあります。

厚生労働省が公表している新規学卒就職者の離職状況では、大卒就職者の3年以内離職率が近年もおおむね3割台で推移しています。

離職が身近な出来事になるなかで、辞め方の選択肢として退職代行が広く知られるようになり、利用のハードルが下がっていると考えられます。

人事担当者にとって重要なのは、退職代行の利用を「特殊な従業員の問題」と片づけないことです。

一定の割合で利用者が出ている以上、自社でも起こりうる出来事として捉え、なぜ直接伝えず第三者を介する選択をしたのかを掘り下げることが、組織課題を見つける手がかりになります。

かつては「よほどの事情がある人が使うもの」と見られていた退職代行が、離職の選択肢のひとつとして定着しつつあることがうかがえます。

利用者は「無責任な人」とは限らない

退職代行の利用者に対して「責任感がない」「社会人としての常識がない」といった印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし同調査を報じた記事では、利用者に「協調性が高く、責任感が強い」という特徴が見られたことが紹介されています。

周囲に迷惑をかけたくない気持ちが強い人ほど、直接切り出すことに大きな負担を感じている可能性があります。

このような人は、引き止めにあうことや上司を落胆させることへの罪悪感から、退職の意思を言い出せないまま限界を迎えがちです。

利用者を一方的に責めると、同じ状況にいる他の従業員の「言い出せなさ」はかえって強まります。

まずは言い出せない構造が社内にないかを点検する視点を持つことが、再発防止の第一歩です。

退職代行を使われる会社に共通する背景

退職代行が選ばれる会社には、退職を直接伝えることへの不安と、本音が組織に届かない構造が共通して見られます。

退職を切り出すと「何が起こるか」が見えない

ニッセイ基礎研究所のレポートでは、退職代行サービスの利用が広がる背景が考察されています。

そこから読み取れるのは、退職を伝えた後に何が起こるかが見えない職場ほど、本人が直接のやりとりを避けたくなるという構図です。

強い引き止めや叱責、退職日までの気まずさが想像されると、第三者に任せる選択が合理的に映ります。

たとえば、過去に退職を申し出た同僚が長時間の面談で翻意を迫られた職場では、「自分も同じ目にあうのでは」という不安が広がりやすくなります。

こうした前例は公式に語られなくても、社内の噂として共有されるものです。

退職手続きの流れや相談先を明文化し、誰に何を伝えればよいかを見える化しておくことが有効です。

そこから読み取れるのは、退職を伝えた後に何が起こるかが見えない職場ほど、本人が直接のやりとりを避けたくなるという構図です。

表向きの退職理由と本音にギャップがある

退職面談で聞かれる理由は「キャリアアップのため」「家庭の事情」など、角の立たないものになりがちです。

辞めていく立場から上司や会社への不満を正直に話しても得がないと考えるのは自然なことであり、本当の理由は語られないまま終わるケースが少なくありません。

その結果、組織は誤った前提で離職対策を続けてしまいます。

よくあるのが、会議では発言がないのに、後から不満だけが聞こえてくるケースです。

不満が表に出ない職場では小さな違和感が蓄積し、ある時点で退職という形で一気に表面化します。

ギャップを埋めるには、辞める段階ではなく在籍中から、立場を気にせず声を届けられる経路を用意しておく必要があります。

部下の不満を解消するための方法5選

退職代行から連絡が来たときの適切な対応

退職代行から連絡が来たら、感情的にならず、業者の種類と本人の意思を確認したうえで手続きを淡々と進めることが基本です。

まずは業者の種類と本人の意思を確認する

退職代行業者には、弁護士が運営するもの、労働組合が運営するもの、民間企業が運営するものがあります。

東京弁護士会は、弁護士資格を持たない業者が退職条件の交渉などを行うことは非弁行為にあたるおそれがあると注意を呼びかけています。

連絡を受けたら、まず運営主体と対応権限の範囲を確認することが大切です。

あわせて、退職の意思が本人のものであるかを確認します。

委任状の提示を求めたり、本人の署名入りの退職届を郵送してもらったりする方法が一般的です。

本人への直接連絡を強行すると、かえって関係がこじれる原因になります。

確認は業者を通じて書面で行い、記録を残しておくことが後のトラブル防止につながります。

東京弁護士会は、弁護士資格を持たない業者が退職条件の交渉などを行うことは非弁行為にあたるおそれがあると注意を呼びかけています。

引き止めず、手続きを淡々と進める

退職代行を使った従業員を引き止めようとしても、多くの場合は逆効果です。

直接話せない状況だからこそ第三者に依頼しているため、強い引き止めは本人の不安を裏づける結果になりかねません。

民法上、期間の定めのない雇用契約では、退職の申し入れから2週間で契約は終了するとされています。

必要なのは、貸与品の返却、離職票や源泉徴収票の送付、有給休暇の扱いといった事務手続きを、期日を決めて確実に進めることです。

チェックリストを用意しておけば担当者による対応のぶれも防げます。

手続きが一段落したら、なぜ直接言えなかったのかを部署単位で振り返る時間を設けることが重要です。

退職代行を使われないための組織づくり

退職代行を使われないためには、管理職の関わり方と、本音を拾う仕組みの両面から「言いにくさ」を減らすことが欠かせません。

管理職が「言いにくさ」を取り除く関わり方

部下が退職や不満を言い出せない背景には、上司の反応への不安があります。

報告を聞いたときに表情を曇らせたり、すぐに反論したりする習慣があると、部下は「言っても無駄」「言うと損をする」と学習してしまいます。

管理職自身が、ネガティブな話ほど最後まで聞き、まず受け止める姿勢を示すことが出発点です。

具体的には、1on1で業務の進捗だけでなく「最近やりにくいことはないか」を定期的に尋ねる、キャリアの迷いを話しても評価に影響しないと明言する、といった関わりが有効です。

退職の相談を受けた際も、まず話してくれたことに感謝を伝えることで、職場に「話しても大丈夫」という空気が広がっていきます。

報告を聞いたときに表情を曇らせたり、すぐに反論したりする習慣があると、部下は「言っても無駄」「言うと損をする」と学習してしまいます。

匿名で違和感を拾う仕組みを整える

管理職の努力だけでは、すべての声を拾うことはできません。

上司そのものが悩みの原因である場合や、評価への影響を恐れる場合には、どれだけ関係が良好でも本音は出にくいものです。

そこで、立場を気にせず違和感を伝えられる匿名の窓口を、直接対話と並行して用意しておくことが有効です。

ただし、匿名の窓口は設置するだけでは機能しません。

投稿者が特定されない仕組みであること、寄せられた声に会社がどう対応したかをフィードバックすることの2点が欠かせません。

声が改善につながる実感が生まれると、従業員は退職を決める前の段階で違和感を共有してくれるようになります。

心理的安全性のよくある勘違い|ぬるま湯との違いと高い職場の条件

こうした課題に組織として取り組むには、従業員が匿名で声を上げられる仕組みづくりも有効です。みんばこのようなクラウド目安箱ツールを活用することで、現場のリアルな声を早期にキャッチし、問題が深刻化する前に対処できます。

本音を軸にした離職対策の事例

匿名で本音を集める仕組みは、離職対策の前提そのものを見直すきっかけになります。ここではみんばこ導入企業の事例を紹介します。

会社の認識と社員の課題感はまったく違っていた

みんばこ導入企業(人材紹介事業・プラットフォーム事業・ウェブサービス事業、500〜1,000名規模)の事例です。

組織の拡大に伴い、すべての採用者と密な関係を保つことが難しくなっていました。

ケア面談など意見を言える場を設けても離職率への効果は薄く、新卒・中途の社員は上司に疑問や懸念を口に出せず、離職面談でも本音はほとんど聞けなかったといいます。

同社は「どれだけ傷つくことを言われたとしてもホンネが聞きたかった」という思いから、新卒・中途入社社員用のケア窓口としてみんばこを活用しました。

人事・採用チーム部長は「みんばこを導入して驚いたのは、今まで私達が認識していた課題はどうでもよくて、ぜんぜん違うところに課題感を持っていたということです。

」と振り返っています。

組織の拡大に伴い、すべての採用者と密な関係を保つことが難しくなっていました。

違和感を早期に共有でき「勘違い離職」を防げた

導入後は、離職を決めるまでの要因や違和感を、気づいたタイミングで相談してもらえるようになりました。

同部長は「特に”勘違い離職”と言われる上層部はそう思っていないのに、勝手に一部分を切り取って解釈したり同期と話して納得したりして離職になってしまうというパターンが防げていることには非常に手応えを感じています。

」と語っています。

本音を軸にすることで、独りよがりの離職対策やケア施策が不要になった点も大きな変化です。

同部長は「匿名に対する不信感や不安はありましたが、こういった手法を使って心理的安全性を確保することも重要なんだと実感しています。

」とコメントしています。

退職代行を使われる前に違和感を拾ううえで、示唆に富む事例です。

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よくある質問

Q. 退職代行を使われた場合、会社は退職を拒否できますか?

A. 原則として拒否はできません。民法では、期間の定めのない雇用契約の場合、労働者が退職を申し入れてから2週間が経過すると契約は終了するとされています。就業規則で「1か月前までに申し出ること」と定めている場合でも、本人の退職の意思そのものを会社が拒むことは困難です。期間の定めのある契約の場合は扱いが異なるため、判断に迷うときは社会保険労務士や弁護士に相談すると安心です。

Q. 退職代行業者から有給休暇や退職日について交渉されたら応じるべきですか?

A. まずは業者の運営主体を確認することが大切です。東京弁護士会は、弁護士資格を持たない業者が報酬を得て退職条件の交渉を行うことは非弁行為にあたるおそれがあると注意喚起しています。民間企業が運営する業者の場合は本人の意思を伝える役割にとどまるため、条件面の調整は本人と書面でやりとりするのが無難です。弁護士が代理人の場合は、自社も専門家を交えて対応を検討すると安心です。

Q. 退職代行を使った従業員に損害賠償を請求することはできますか?

A. 退職代行を利用したこと自体を理由に損害賠償を請求するのは、一般的に難しいと考えられています。退職は労働者の権利であり、会社側が具体的な損害とその因果関係を立証する必要があるためです。引き継ぎがないことで業務に影響が出る場合も、請求を検討するより、業務を属人化させない体制づくりや引き継ぎ資料の整備に力を注ぐほうが現実的です。個別の判断は専門家に確認してください。

Q. 退職代行が使われた部署の上司には、どのように対応すべきですか?

A. まずは上司を一方的に責めないことが大切です。退職代行が使われた背景には、上司個人の対応だけでなく、業務量や評価制度、職場の雰囲気など複数の要因が絡んでいることが多いためです。上司自身も動揺や自責の念を抱えている可能性があります。人事が同席して事実関係を整理し、部署として何を変えられるかを一緒に考える場を設けると、再発防止につながりやすくなります。

Q. 退職代行が使われた後、残ったメンバーにはどう対応すべきですか?

A. 急な退職で業務負担が増えたり、「自分たちの職場に問題があるのでは」と不安を感じたりするメンバーもいます。退職者の個人的な事情を詮索したり批判したりせず、業務の再配分を速やかに決めて負担の偏りを防ぐことが先決です。そのうえで、職場で困っていることを匿名で聞くアンケートなどを実施すると、連鎖的な離職を防ぐ手がかりが得られます。

Q. 匿名の意見箱を設置しても声が集まらない場合はどうすればよいですか?

A. 声が集まらない原因として多いのは、「本当に匿名なのか」という不安と、「出しても何も変わらない」というあきらめです。投稿者が特定されない仕組みであることを繰り返し説明し、寄せられた声への対応状況を全社に共有することが効果的です。紙の箱を設置するだけでなく、スマートフォンから気軽に投稿できるオンラインの仕組みにすると、心理的なハードルも下がりやすくなります。

まとめ

この記事のポイント
  • 離職者の約20人に1人が退職代行を利用しており、自社でも起こりうる出来事として捉える必要がある
  • 利用者は無責任とは限らず、責任感が強い人ほど直接切り出すことに負担を感じている可能性がある
  • 退職後に何が起こるか見えないことや、本音と表向きの理由のギャップが退職代行を選ばせる背景にある
  • 連絡が来たら業者の種類と本人の意思を確認し、引き止めずに手続きを淡々と進める
  • 管理職の関わり方と匿名で違和感を拾う仕組みの両輪で、在籍中から本音が届く組織をつくる

退職代行を使われる前に違和感を拾うには、在籍中から本音を安心して届けられる仕組みが欠かせません。クラウド目安箱「みんばこ」は、投稿者の匿名性を保ちながら従業員の声を集め、会社との対話につなげることができます。

「辞めます」の前に、「実は…」が届く職場へ。

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従業員の本音を集めるクラウド目安箱「みんばこ」
  • 匿名で本当に本音が集まりますか?
    みんばこは投稿者が特定されない匿名の仕組みで、上司や評価を気にせず違和感を伝えられます。新卒・中途入社社員のケア窓口として活用し、会社の認識とは異なる課題感に気づけた導入企業もあります。
  • 寄せられた声にどう対応すればよいですか?
    みんばこでは匿名のまま投稿者とやりとりできるため、詳しい状況を確認したり対応状況を伝えたりできます。声が改善につながる実感が、継続的な投稿を後押しします。

参考・引用