心理的安全性を高める職場の取り組み事例と実践ステップ

「心理的安全性を高めたいが、何から手をつければよいのか分からない」「研修を実施しても職場の空気が変わらない」と悩んでいませんか。本記事では、心理的安全性が低い職場で起きている悪循環を整理したうえで、実際の取り組み事例と、自社で無理なく始めるための実践ステップ、形骸化を防ぐ注意点を解説します。

目次

心理的安全性とは?職場で取り組みが求められる理由

心理的安全性とは、チームの中で率直な意見や懸念を口にしても不利益を受けないと感じられる状態のことです。ストレスやハラスメントの実態を踏まえると、個人の努力ではなく組織として取り組むべき課題といえます。

「何を言っても大丈夫」と思えるチームの共有認識

心理的安全性は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、チームの中で質問や反対意見、失敗の報告をしても、恥をかかされたり罰せられたりしないと信じられる状態を指します。

重要なのは、個人の性格や度胸の問題ではなく、チーム全体で共有されている「空気」や認識だという点です。

この概念が広く知られるきっかけになったのが、Googleが社内のチームを対象に行った調査です。

成果を上げるチームに共通する要素を分析した結果、心理的安全性がチームの成果に欠かせない要素とされたことが紹介されています(出典:PLATWORKS「『心理的安全性』はなぜ生産性を高めるのか?」)。

意見が出やすいチームほど、問題の早期発見や改善が進みやすくなるためです。

ストレスやハラスメントの実態から見える必要性

厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.7%でした(結果の概要・個人調査)。

多くの人が何らかの負荷を抱えながら働いており、その負荷を口に出せるかどうかが職場の健全さを左右します。

また、厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」(令和5年度)では、過去3年間にハラスメントの相談があった企業の割合は、パワーハラスメントが最も高くなっています(報告書)。

ハラスメントの多くは、早い段階で声が上がれば深刻化を防げます。

言い出せない職場ほど問題が水面下で大きくなるため、心理的安全性は予防の土台になります。

なお、令和6年の同調査では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.2%でした(結果の概要・事業所調査)。

多くの事業所が相談窓口やストレスチェックなどの対策を講じていますが、利用されなければ効果は限られます。

日常的に声を上げやすい環境があってこそ、制度は実際に機能します。

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心理的安全性が低い職場で起きている悪循環

心理的安全性が低い職場では、意見を言わないことが「合理的な選択」になってしまいます。その結果、現場の本音が経営や人事に届かず、的外れな施策が繰り返される悪循環に陥ります。

同調圧力のもとで「傍観者」が得をする構造

よくあるのが、会議では誰も反対しないのに、終わった後の雑談やチャットで不満だけが聞こえてくるケースです。

違和感があっても、発言すれば「空気が読めない」と見られたり、言い出した人が担当を押し付けられたりする職場では、黙っている方が損をしません。

こうして傍観者でいることが得になる風土が根付いていきます。

この状態が続くと、問題は誰にも指摘されないまま放置され、組織は少しずつ判断の質を落としていきます。

表面上はもめごとのない穏やかな職場に見えるため、管理職が異変に気づきにくいのも厄介な点です。

発言しない理由を個人の意欲不足と捉えるのではなく、発言のコストが高すぎる構造に目を向ける必要があります。

本音が届かず、独りよがりの施策が続く

もう一つの問題は、経営や人事が把握している課題と、社員が実際に感じている課題がずれてしまうことです。

面談やアンケートを実施しても、評価や人間関係への影響を心配して当たり障りのない回答しか返ってこなければ、組織は誤った前提のまま施策を打ち続けることになり、時間とコストだけが失われていきます。

みんばこにご相談いただく企業の中にも、「言っても変わらない」という雰囲気が社内にあると話す企業があります。

本音を言わない社員が悪いのではなく、言える経路と、言った後に何が起きるかが見えていないことが原因です。

まずはこの前提を組織として認識することが出発点になります。

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心理的安全性は、個人の勇気に頼るだけでは高まりません。立場や評価を気にせず声を届けられる経路を、組織として用意することが大切です。匿名で意見を集める仕組みは、言い出しにくい本音や小さな違和感をすくい上げる手段の一つとして有効です。

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心理的安全性を高めた職場の取り組み事例

ここでは、匿名で意見を集める仕組みを入り口に、意見を言える風土づくりに取り組んだ実際の事例を紹介します。共通しているのは、仕組みを入れるだけでなく、寄せられた声への向き合い方を組織として示した点です。

事例1:「意見を言う行動」そのものを評価し、傍観者を減らした取り組み

みんばこ導入企業(ウェブサービス事業・システム企画・開発事業・システム運用・保守事業、300〜500名規模)の事例です。

この企業では、違和感や疑問を感じても流してしまう社員が増え、同調圧力のもとで傍観者でいることが得になる風土が根付きつつありました。

放置すれば中長期的に組織が弱くなると考え、意見を言う価値を示す第一歩として全社導入を決めました。

定着に向けては、社長の力も借りて全社で何度も告知し、投稿一つひとつに丁寧に答える姿勢を徹底しました。

経営企画部 部長 / 執行役員は「投稿にはひとつひとつ丁寧に答え、良いも悪いも意見をいうという行動自体を評価するという姿勢を貫いていることで、次第に投稿者も増え、みんばこ運営チームもできました。

」と振り返っています。

取り組みは道半ばとしながらも、信頼をベースに協働し、傍観者ではなく皆が主体となる素地ができてきたといいます。

特に若い世代で、恐る恐る投稿した意見が形になり喜ばれる経験が生まれています。

同氏の「匿名自体は好きではないですが、そういったきっかけを待っている人は一定数いるんだなというのが教訓です。

」という言葉は、きっかけの重要性を示しています。

事例2:新卒・中途社員の本音から「勘違い離職」を防いだ取り組み

みんばこ導入企業(人材紹介事業・プラットフォーム事業・ウェブサービス事業、500〜1,000名規模)の事例です。

組織の拡大に伴い、すべての採用者と密な関係を保つことが難しくなっていました。

ケア面談などで意見を言える場を作っても離職率への効果は薄く、新卒・中途の社員は上司に疑問や懸念を口に出せず、離職面談でも本音はほとんど聞けない状況でした。

新卒・中途社員のケア窓口として運用を始めたところ、会社が認識していた課題とはまったく違うところに社員の課題感があったことが分かりました。

人事・採用チーム 部長は「みんばこを導入して驚いたのは、今まで私達が認識していた課題はどうでもよくて、ぜんぜん違うところに課題感を持っていたということです。

」と語っています。

現在は、離職を決めるまでの要因や違和感を、気づいたタイミングで相談してもらえるようになりました。

上層部の意図を一部だけ切り取って誤解したり、同期と話して納得したりして辞めてしまう「勘違い離職」を防げている手応えがあるといいます。

同部長は、匿名への不信感はあったものの、心理的安全性を確保する手段として重要だと実感していると述べています。

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自社で心理的安全性を高めるための実践ステップ

事例に共通するポイントを踏まえると、取り組みは「現状を測る」「管理職の反応を変える」「声の経路と応答の仕組みを整える」の3段階で進めると効果的です。

ステップ1:現状を測り、課題を言語化する

取り組みの最初につまずきやすいのが、「なんとなく風通しが悪い」という感覚のまま施策を始めてしまうことです。

現状が分からなければ、何を改善すべきか、取り組みの効果が出たのかも判断できません。

心理的安全性の測定には、エドモンドソン教授が示した7つの質問を用いる方法が知られています(出典:go100「心理的安全性の測り方は?」)。

「チームの中でミスをすると非難されることが多い」「チームのメンバーに助けを求めることは難しい」といった設問に、匿名で回答してもらう形が一般的です。

記名式では本音が出にくいため、回答者が特定されない設計にすることが前提になります。

部署ごとの傾向を見ることで、どのチームから手を打つべきかの優先順位もつけやすくなります。

ステップ2:管理職の「最初の反応」を変える

心理的安全性を大きく左右するのは、部下が意見や失敗を口にした瞬間の上司の反応です。

悪い報告に不機嫌な態度をとったり、すぐに責任追及を始めたりすると、部下は「次からは黙っておこう」と学習します。

日本看護協会が公開しているセルフチェックでも、部下や年下から意見を言われるとイラっとするかといった項目が挙げられています(出典:日本看護協会)。

対策として有効なのは、まず「言ってくれてありがとう」と受け止める習慣を、管理職研修や1on1の場で徹底することです。

内容に同意できない場合でも、発言した行動そのものは肯定し、そのうえで論点を議論します。

事例1の企業が意見をいう行動自体を評価する姿勢を貫いたように、反応の一貫性が部下との信頼を積み上げていきます。

ステップ3:声が届く経路を複数用意し、必ず応答する

対面の会議や1on1だけでは、上司との関係そのものに悩みがある人や、発言に慣れていない若手の声は拾いきれません。

そこで、目安箱や匿名の投稿窓口など、立場を気にせず意見を出せる経路を併せて用意することが有効です。

経路が一つしかない職場では、その経路を使いにくい人の声が丸ごと抜け落ちてしまいます。

ただし、経路を用意しただけでは定着しません。

寄せられた声に対して、対応方針や対応できない理由を含めて必ず返答することが重要です。

応答が見えると「言えば届く」という実感が生まれ、次の投稿につながります。

反対に、意見が放置されると、仕組みを作る前よりも諦めが強まるおそれがある点に注意が必要です。

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こうした課題に組織として取り組むには、従業員が匿名で声を上げられる仕組みづくりも有効です。みんばこのようなクラウド目安箱ツールを活用することで、現場のリアルな声を早期にキャッチし、問題が深刻化する前に対処できます。

取り組みを形骸化させないための注意点

心理的安全性の取り組みは、方向性を誤ると「ぬるま湯」や「犯人探し」につながりかねません。導入後に陥りやすい落とし穴を、事前に押さえておくことが大切です。

心理的安全性と「ぬるま湯」を混同しない

心理的安全性を高めようとして、厳しい指摘を避けたり、目標や基準を緩めたりしてしまうケースがあります。

しかし、心理的安全性は「何でも許される状態」ではありません。

高い基準を保ちながら率直に意見を交わせる状態こそが目指す姿であり、なれ合いの職場とは区別して考える必要があります(出典:「職場における心理的安全性とは?作り方と『ぬるま湯』にしない対策」)。

対策としては、取り組みの目的を「言いやすくすること」ではなく「より良い判断や成果につなげること」と明確に共有することです。

意見を出しやすくなった後に、それを議論し、改善に結びつけるプロセスまで設計しておくと、心理的安全性が成果と結びついた状態を保ちやすくなり、社員も取り組みの意義を実感できます。

匿名の声を「犯人探し」に使わない

匿名の窓口を設けた際に最も避けるべきなのが、投稿内容から書いた人を推測し、特定しようとする動きです。

たとえ悪意がなくても、「あの意見は誰が書いたのか」という詮索が一度でも起きれば、社員はすぐに口を閉ざします。

匿名性への信頼は築くのに時間がかかる一方で、失うのは一瞬だという認識を経営層と管理職で共有しておく必要があります。

運用ルールとして、投稿者を探らないことを明文化し、社員にも公表しておくと安心感が高まります。

また、厳しい内容の投稿こそ感情的に反応せず、事実確認と改善策の検討に集中する姿勢が求められます。

事例で紹介した担当者も匿名への抵抗感を率直に語っていますが、それでも価値を見いだしたのは、匿名だからこそ届く声があると実感したためです。

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  • 完全匿名で投稿・返信が可能。誰が書いたかは管理者にもわかりません。
  • 投稿後も双方向チャットで匿名のまま継続的にやり取りできます。
  • スマートフォン・PCどこからでもアクセス可能。導入もかんたんです。

よくある質問

Q. 心理的安全性の高い職場とは、どのような状態ですか?

A. 質問や反対意見、失敗の報告をしても、恥をかかされたり不利益を受けたりしないとメンバーが感じられる状態です。対立がない職場や、厳しい指摘がない職場という意味ではありません。率直な意見交換を通じて、問題の早期発見や改善が進む状態を指します。個人の性格ではなく、チーム全体で共有された認識である点が大きな特徴です。

Q. 心理的安全性の取り組みは、何から始めればよいですか?

A. まずは現状を把握することから始めるのがおすすめです。エドモンドソン教授の7つの質問などを参考に匿名でアンケートを実施し、部署ごとの傾向を確認します。そのうえで、管理職が部下の意見や失敗報告をどう受け止めているかを見直し、声を届けられる経路と応答のルールを整えていくと、取り組みが具体的になります。

Q. 研修を実施しても職場の雰囲気が変わらないのはなぜですか?

A. 研修で知識を得ても、日々の場面での上司の反応や、意見を言った後の扱われ方が変わらなければ、社員の行動は変わりません。心理的安全性は「意見を言っても大丈夫だった」という経験の積み重ねで育つものです。研修とあわせて、寄せられた声に応答する仕組みや、発言そのものを評価する運用を組み合わせることが重要です。

Q. 匿名で意見を集めると、無責任な批判ばかりにならないか心配です。

A. 匿名にすると、厳しい意見が寄せられる場面は確かにあります。しかし、それは普段表に出ていなかった不満が可視化されたとも捉えられます。投稿の目的やルールを明示し、一つひとつに誠実に応答していくことで、建設的な意見が増えていくことが期待できます。事例の企業でも、きっかけを待っている人は一定数いたことが教訓として語られています。

Q. 心理的安全性を高めると、職場が甘くなりませんか?

A. 心理的安全性と、基準を緩めることは別物です。目標や品質の基準が高いまま、率直に意見を交わせる状態が理想とされています。基準を下げてなれ合いになると、いわゆる「ぬるま湯」の状態になりかねません。取り組みの目的を成果や判断の質の向上に置き、出された意見を議論と改善につなげるプロセスまで設計することが大切です。

Q. 管理職自身が心理的安全性を損なっていないか確認する方法はありますか?

A. セルフチェックを活用する方法があります。たとえば日本看護協会が公開している資料には、部下や年下から意見を言われるとイラっとするかといった確認項目が示されています。あわせて、部下が悪い報告をしてきたときの自分の第一声を振り返ることも有効です。匿名アンケートでチームの受け止め方を確認すると、自己評価とのずれにも気づけます。

まとめ

この記事のポイント
  • 心理的安全性は個人の性格ではなく、チームで共有される「意見を言っても大丈夫」という認識である
  • 心理的安全性が低い職場では傍観者が得をする構造が生まれ、本音が経営や人事に届かなくなる
  • 取り組み事例では、意見を言う行動そのものの評価や、本音に基づく施策の見直しが風土を変えるきっかけになった
  • 実践は「現状を測る」「管理職の反応を変える」「声の経路と応答の仕組みを整える」の3ステップで進める
  • 「ぬるま湯」や「犯人探し」に陥らないよう、目的と運用ルールを明確にして取り組む

心理的安全性は、声を上げても大丈夫だったという経験を一つずつ積み重ねることで育っていきます。まずは社員が安心して本音を届けられる経路を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。

安心して声を上げられる職場づくりを支えるのが「みんばこ」です
  • 立場を気にせず意見を出してもらえますか?
    みんばこは匿名で意見や相談を投稿できるため、評価や人間関係を気にせず本音を届けやすくなります。会議や面談では出てこない小さな違和感もすくい上げられます。
  • 寄せられた声に返信することはできますか?
    管理者が投稿に返信し、やり取りを重ねながら状況を確認できます。対応方針を返すことで「言えば届く」という実感につながります。
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参考・引用